こんにちは、公認心理師のnachiです。
「○○心理学ってなに?」
この記事では、これらのことをわかりやすく説明します。
自分の関心のある心理学がどれかわかれば、まわり道せずに学習できるでしょう。
心理学の種類
「心理学」と一言で言っても、本屋さんに行ったり、amazonで検索したりすると、「○○心理学」というのが、無数に出てきます。
それは、10年以上心理学の世界にいる私でも、「そんなのあるんだ~」と思うほどです。
今回は、「高校生がわかる」心理学の分類を目指したいと思います。
そもそも心理学とは
心理学を学んだことのない人に説明するのは、むずかしいです。
私が一番いいと思う説明は、「心理学はこころの科学である」です。
詳しくは、心理学を趣味で独学、難しいのはなぜ?【理由は3つ】にまとめています。
ここでは、心理学というものは、「こころ」を「あるルール」に従って説明しようとするものということをおさえてください。
大分類ー基礎心理学と応用心理学
心理学の種類を大きく分けると、「基礎心理学」と「応用心理学」とに分けられます。
これは、「こころ」という大きなものの、どの部分に注目して、何のために研究するか、ということで分けられています。
そして、細かく見ていくと、「○○心理学」というのが20個以上になってしまいます。
ここでは、私が大学生の頃初めて読んだ心理学の本を含め、「心理学入門」に関係する本を10冊ほど読み直し、改めて心理師の視点から、分野として広いものを5つずつまとめてみました。
基礎心理学
「こころ」のある側面についてのルールや条件をあきらかにすることを目的としている心理学のすべてです。
「こころのある側面」という、対象がはっきりしていて、応用心理学の「基礎」になる部分です。
学習(行動)心理学
学ぶ、身に着ける、繰り返す…という行動を「こころ」として見て、理解しようとするものです。
つまり、「学校で勉強する」ということばかりではなく、どうやってその行動をするようになるのか、いつまでもつづけてしまうのはどうしてか、などを知ろうとする心理学です。
この心理学を学ぶと、自分の周りの意味不明な行動を理解したり、どうやって行動を変えるのがいいのかがわかったりします。
認知(生理・神経)心理学
「こころ」がどんな風に周りや他人を知って、思って、判断するのか、記憶するのか…などを説明しようとするものです。
この心理学は幅広い分野です。
人の感情はどこでどんなふうにおこるのか、記憶しやすいものとそうでないものがあるのはなぜか、予想したり思い込んだりするのはどんな時かを知ることを目指しています。
この心理学を学ぶと、人の感情や判断は相対的なものであることがわかったり、自分の記憶や思い込みをリメイクしたりできます。
発達心理学
「こころ」が発達するプロセスを説明しようとするものです。
つまり、あかちゃんからこども、大人になる、また、おじいちゃんおばあちゃんになっていく、「こころの過程や特徴」を知ろうとする心理学です。
この心理学を勉強すると、人生の過去が今や未来がつながって見えるようになり、刹那的ではない人生観が得られます。また、自分や他人はどんなところが苦手なのか、それがなぜなのかがわかるようになります。
人格(性格)心理学
「こころ」の個人差を説明しようとするものです。
つまり、「同じ人間は一人もいない」けど、「授業(仕事、会議…)は静かに受けるのが当たり前」なのはなぜ?、明るい、暗い性格は変わるの?何が違うの?を知ろうとする心理学です。
この心理学を勉強すると、性格の不安定さや、どんな性格は変えられて、どのような性格は生まれつきだから変わらないのか、などがわかります。
社会心理学
人が集まった集団の中での「こころ」はどんなふうに動くのかを説明しようとするものです。
つまり、人は集団の中にいる時と、1人でいる時とで、「こころ」の動き方は大きく違う。他人の中にいる時、人の判断や行動はどのように変化するのかを知ろうとする心理学です。
この分野を勉強すると、社会的な「普通」がわかります。そして、みんなと同じであることが、必ずしも良いことだけではないことがわかります。
心理統計(計量心理)学
「こころ」の特徴や「こころ」が起こした現象を、数字によって客観的に説明しようとするものです。
つまり、「こころ」の働きを調べるための方法の学問です。これは、心理学ではなく、「心理」を「統計的に調べるための」学問です。
この分野を勉強すると、世間で言われていることが、本当といえるかどうか、自分で判断できる知識が身に付きます。
応用心理学
基礎心理学をリアルな社会にいかすためにまとめなおして、間を埋め、使うために研究されている心理学の全てです。
いろいろな基礎心理学をベースに、「利用して目的を達成する」ためにまとめられている心理学です。
実用的で、具体的なため、小説やドラマの登場人物が専門家のときにも使われやすいです。
臨床心理学
なにかしらの理由から「こころ」が安定していない状態にある人のことを理解して、治療しようという目的を持っている心理学です。
「カウンセラー」の代表資格である臨床心理士や公認心理師になりたい人が座学でも実習でも学ぶもので、人に対するある見方や、話の聞き方、その技術なども含むものです。
臨床心理学は、発達心理学から認知心理学、学習心理学、人格心理学などの基礎心理学を一通り網羅している必要があります。
この心理学を学ぶと、まずは自分と今よりラクに付き合えるようになります。また、人と自分はあまり違わないんだなあと思うようになります。
犯罪心理学・矯正心理学
犯罪を犯した人の背景や特徴などを理解して、その知識を使うことで、発生防止、再犯防止、矯正教育などを行うことを目的としているものです。
この心理学には、発達心理学や社会心理学、人格心理学などの多くの心理学のなかでも、何かしらが「過剰」な状態を取り上げて利用しています。
また、大学で犯罪心理学を学べる大学が少ないのも特徴です。
これについては、萩野谷俊平さんが【全国】犯罪心理学が学べる大学・大学院16選に、わかりやすくまとめてくださっているので、興味のある人は見てみてくださいね。
教育心理学
学校で教育するということに注目して、発達段階や個性に対する理解をすることで、授業を効果的にしたり、学校教育に活かすことを目的とした心理学です。
学校の先生になる人は、大学で「教育心理学」と「教育相談」という授業を必ず受けることになります。
たしかに、子どもの発達を理解していないと、大勢の子どもたちに少ない大人が適切な教育や指導なんていうのは、そもそも無理な話です。
教育心理学は、発達心理学はもちろん、集団の中での様々な子どもたちがいるため、人格心理学、社会心理学と関係が深いです。
学校の先生になる人が学ぶと、現実問題と理想のあり方に苦しむことになります。
しかし、私がスクールカウンセラーで出会った苦しんでいる先生たちは、「うちの子の担任の先生になってもらいたい」と思うような、すばらしい先生たちばかりでした。
産業心理学
働いている人の「こころ」のあり方や不安定な状態や良い状態などを、仕事の量や質との関係、また、相談できる人間関係があるかどうかなどに注目して理解し、より健康的な労働の「こころ」であるための心理学です。
この心理学を学ぶことで、「適切で健康的な仕事」をしることができ、疲れ切ってしまう人は、自分の状態を見つめなおすことができます。
児童心理学・高齢者心理学
子どもやおじいちゃんおばあちゃんの発達段階、年齢に注目した心理学で、どのように理解して効果的に助けるにはどうしたらよいかを理解、求めるもの。
年齢に応じた心理学は多々ありますが(思春期心理学、青年心理学など)、その段階に直面しやすい課題や問題には特徴があるといわれています。
その問題をどのように理解して、立ち向かえばいいのかを知り、活かす心理学です。
それは、私たちが高齢者であったことはなく、加齢による心身の変化や不自由さを経験できないからです。
しかし、そのようなおじいちゃんおばあちゃんに関わるのは、私たち高齢ではない人です。
自分の経験としてわからないことを理解しようとするかどうかで、関わり方が大きく変わります。
それらの心理学を学ぶと、自分と異なる他人への理解が進み、また、成長にともなう課題に備えることができます。
その他の心理学
恋愛心理学や経済心理学など、○○心理学は、ものすごくたくさんあります。
それは、「こころ」のどの部分に注目して、なんの目的のための心理学なのかによって異なるからです。
自分の学ぶ目的をはっきりさせてから勉強を始めたいものですね。
【最後に】各心理学を学ぶ時に気をつけたいこと
応用心理学は基礎心理学の上に成り立っていて、現実的で具体的な心理学が多いとかきましたが、基礎心理学を学んでいないと応用心理学がわからないわけではありません。
同じ人の「こころ」を見ているので、もちろん理解できると思います。
しかし、基本的に、応用心理学の本では、基礎心理学を一通り知っていることを前提としています。
理由は、小学校1年生と2年生では、精神面の発達段階、認知機能の発達度、また、レディネスなどです。これは、発達心理学と認知心理学、学習心理学の知識がないと、すんなり理解するのはやや難しい内容でしょう。
この記事をここまで読んでくださった人は、少なくとも心理学に興味をもっている人だと思いますので、ぜひ、学んで使えるようになってほしいと思います。
今回はここまで。
おわり。
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