公認心理師試験の事例問題解答のコツ【本やスクール不要】

公認心理師試験
この記事を書いたのは・・・

国立大学院の臨床心理学専攻を卒業し、現在臨床心理士、公認心理師の資格をとり、クリニックや学校で勤務中。
精神科病院、クリニックにおける経験を5年以上。
スクールカウンセリング経験あり。
最近ブログ学習中。

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こんにちは、nachiです。

「事例問題の解き方を知りたい!」
「専用の本を買わないといけないの?」

そんな風に思いますよね。
公認心理師試験に出題される事例問題は3点と配点が高いため、確実に得点することが合格への最短距離になります。

この記事では、公認心理師試験の事例問題の解き方のコツについてまとめました。

私自身は、第1回は受験せず、第2回の公認心理師試験で初受験し、合格しました。
そんな私が、第1回追試を含めた公認心理師試験第3回までを改めて全て解き、コツとしてまとめました。
これから受験する人の学習が少しでも効率的に進むことを願っています。
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事例問題には3つの視点が大切【コツ】

 

まず、事例問題には2種類あります。

1つは、検査結果やアセスメントの知識問題の応用問題
2つ目は、「公認心理師試験がどのような選択をするか」ということが問われている問題

今回は、2つ目の「公認心理師試験がどのような選択をするか」ということが問われている問題について説明します。

第3回まで、事例問題は毎回38問出題されており、私の見たところ、1に関わるのは、20問。

2に関わる問題が18問程度であるように思われます。

したがって、いかに示すことをおさえれば、18問×3点=54点近くを得点できます。

出題される分野

2として出題される分野は、以下の通りです。(ブループリントの言葉で記載)

・多職種連携・地域連携
・公認心理師としての職責
・心理に関する支援
・福祉・・・特に、虐待疑いと認知症と認知機能検査
・教育・・・特に、学校の中での役割、チーム学校や連携
・産業・組織・・・特に、連携やリファー

言われてみると当たり前かもですが、社会心理学や精神物理学、神経心理学、心理実験法などの分野は、事例問題にはなりえません。

それらは、知識問題でしか出題されないんです。

 

公認心理師としての態度

これらの分野において、「公認心理師試験がどのような選択をするか」が問われているわけです。

つまり、正解不正解がはたから見てわかるほどの「公認心理師がとるべき適切な態度というものがありますよ」ということです。

それは次の通り。上から順に優先度が高いですが、下の原則の上に特例として上のものがのっているイメージです。

➀クライエントの生命の危機・虐待の疑いがある場合
②確認・検討し、心理師個人で勝手な判断を下さない姿勢
③本人の意思を尊重する姿勢

➀クライエントの生命の危機・虐待の疑いがある場合

クライエントや相談者の生命の危機、自傷他害の恐れがある場合、虐待の疑いがある場合は、他の 何よりも優先される特例があります。

それは、守秘義務とか相談内容とか、他のすべてに優先されます。

逆に言えば、事例問題でそのような点に焦点を当てた問題が出た場合、まどろっこしいことをしている選択肢は消去できるということです。

②確認・検討し、心理師個人で勝手な判断を下さない姿勢

➀の特例でない場合、基本的にはこの姿勢を優先します。

疑わしきは可能な限り心理師がその場で確認・検討して、医師や校長、所属長の指示を仰ぐ態度を示す選択肢が正解となります。

例えば、幻覚症状のあるクライエントに対し、初診時の聴き取りをするという状況であれば、その後の医師の除外診断の補助となるよう、他の身体疾患を患っていないか確認したり、他の症状が見受けられないか尋ねたりすることで必要な情報を集める、などです。

そして、基本的に、相談や関わりは一回きりではなく、継続するような選択肢が正解です。

③本人の意思を尊重する姿勢

私たちが勉強する中で、本来これが一番優先されていますよね。

ですが、試験問題の都合上、➀からの出題ではなく、②で削除しきれない選択肢の削除目安程度のベース姿勢となってしまっています。

繰り返しますが、本来の仕事ではこれがベースとして大切ですよ。

本人の意思や気持ちを傾聴し、共感的理解を示し、尊重する態度です。

つまり、選択肢に「絶対に~させない」とか「必ず~を行う」というものは不適切な選択肢といえます。また、「~を勧める」という、公認心理師だけによる強引な提案も不適切であるといえます。

問題の問い方

基本的態度で察した人もいるかもしれませんが、事例問題の問い方と選択肢の作り方は、結構意地悪です。

一見すると、全て正しく見えたり、正解の選択肢がないように見える物がほとんどです。

ですが、事例問題には頻出の「問い方」があります。

この問い方を理解し、自分で問題を見た時、納得して回答できるようになることがポイントです。
以下の3つです。

・「最も適切なものを選べ」
・「不適切なものを選べ」
・「正しいものを選べ」

具体例を出してみましょう。

「最も適切なものを1つ選べ」

これは、第2回公認心理師試験の問題140(事例問題)です。

解答の正解ではない選択肢を見ると、煮え切らない理由で「異なる」という判断が多いことに気づきます。

「MMSEは認知症のスクリーニングに使われることが多い」から、22歳の検査としては不適切であるとか、「知能検査を再度行う必要性があるとは判断できない」とか。

つまり、「適切なもの」を選ぶ問題では、確実に×ではない、完全な不適切ではないんだけど、やや不適切な部分が混じっているから、そのなかでも適切さの高そうなものを選ぶというのが正しい姿勢だといえます。

「希死念慮があると事例からは判断しきれない」し、詳細な成育歴をききたいところだけど、「親と仲が悪い」って言ってるし・・・。あれ、そもそも成育歴を本人に聞いたって書いてないぞ?じゃあ、まずは本人に成育歴をきくのが「引き続き行う対応として」は適切かなあ、といった具合です。

「不適切なものを選べ」

これは、第1回公認心理師試験の問題74(事例問題)です。

不適切なものを選ぶ問題は、さらっとみると全て適切に見えるということが多いです。

そして、「この行動を徘徊と勝手に判断していいのか?」、「民生員への情報提供と支援の依頼はこの段階ではないのでは?」と考えだすと、ドツボにはまってしまいます。

しかし、一つ一つの選択肢をよく見ると、日本語の読み間違いや思い込みがあり、明確な理由によって間違い箇所を消去できることが多いです。

この問題の場合、現状のまま放置することは不適切だといえ、また、だれかの自由を奪ったり拘束したりする行為には法的根拠が必要であるという明確な理由があるため、不適切であるといえます。「なんか全部適切そうだけど・・・あ、Aの居室を施錠したら虐待じゃん。だからこれはダメだな」といった具合です。

「正しいものを選べ」

これは、第1回公認心理師試験の問題154(事例問題)です。

この「正しいものを選べ」問題は、完全な消去法です。

この問題は知識問題の応用版的なところがありますが、取り組み方は一緒です。

まず、強迫行為と常同行動とは「同じことを繰り返す」という点において共通していますが、「強迫行為」は「強迫観念」とセットで使われる用語であり、強迫観念が記載されていない強迫行為というのは基本的にありません。したがって、繰り返し同じことをするという「常同行動」が正しいです。

そして、離人症状っぽいことも書いてないし、本当は見当識障害もありそうな状態だろうけど書いてないからわからないし・・・だけど、「2年くらい前から・・・短気で」、「信号を無視することも多くなり」、「制止すると興奮する」は(感情の)抑制の欠如といっていいだろうな、といった具合です。

各選択肢のどこのどんなところが間違っているか(書いていないか)、を把握し、間違いなく正しいといえる選択肢を探す作業になります。

みなさんも、お手元にある事例問題の過去問で試してみてください。
国家試験は、限られた時間の中でいかに効率よく勉強して、合格ラインに達するかの試験です。

よい試験勉強ライフをお送りください。

今回はここまで。

ちなみに、今回画像で使った本で、私が学習で使った本はこちら。おススメです。

おわり。