こんにちは、第2回公認心理師試験に80%の正答率で合格したnachiです。
「公認心理師試験に出てくる心理検査はどのくらい覚えなきゃいけないの?」「どうやって勉強するの?」
心理検査については、心理系の大学や大学院でもちろん学びますが、一つ一つにそれほど時間をかけて取り組んでいないので、いざ試験に挑む際にそう思う人は多いはずです。
結論、全ての心理検査を完璧に覚えきる必要はありません。
この記事では、公認心理師試験に出題される心理検査で覚えなければならないものと、それぞれの検査はどの程度まで学習しなければならないかについてまとめました。
これを見れば、公認心理師試験合格に必要な心理検査の知識を効率的に学習できるようになるはずです。
公認心理師試験に出題される心理検査の勉強法【前提】
試験に出る心理検査の数は多いですよね。
「こんな検査、聞いたことない!」「見たことないよ!」ということもザラにあります。
ですが、それでいいんです。
ここでは、公認心理師試験合格のための、心理検査分野の勉強法の心得について書きます。
試験の点数=臨床スキルではない
心理検査の分野は、多職種が行うことが少ない分、「検査の問題を間違うなんて公認心理師としてあるまじき!」と思う人も多いようですが、心理検査分野の得点と臨床スキルに関連性はありません。
試験問題が解けることと現場でその心理検査を正しく使えることは別だからです。
イメージしてみれば、当たり前です。
試験問題で、「WAISの下位尺度である言語理解が○点、知覚推理が△点、ワーキングメモリ―が□点、処理速度が☆点という結果から、発達の偏りがあると見てよいか」という問題はありうるでしょう。他の検査と組み合わせて、二次障害が見受けられるか、という問いになるかもしれません。
しかし、これに正解したからといって、正解した人が、「患者さんはどんな気持ちでいることが多いのか?」、「周囲との誤解がどこから生じているのか?」などを理解できるかどうかは別の問題です。
実際は、検査オーダーやニーズに応えるためには、後者までを検討する必要があります。
また、問題を実際に解いてみると、「この検査は仕事でも使っているし、わかってるはずなのに、間違い得てしまう」ということはよくおこります。
これは、心理検査に関する正しい知識量というよりも、問題に対する考え方が間違っていることが多いです。
これに関しては、【知識だけじゃ得点できない】公認心理師試験の事例問題を得点する勉強法を見てください。
つまり、実際のスキルと正答率はイコールではないのです。
心理検査の学習をする前に心理統計は理解しておこう
心理検査は、基本的に統計学をベースに作成されています。
それは、質問紙検査も作業検査も、投影法も同様です。
膨大な被験者のもと、大勢の他者に適応可能な、再現性が高く、妥当性の高い「心理検査」という形にまとまっています。
したがって、知らない心理検査が出てきたときの回答基準としてはもちろん、心理検査の構造やプロフィール表について学習する際にも、必要な知識となってきます。
したがって、心理検査の学習の前に、遅くとも並行しては、心理統計の勉強をしておくことをお勧めします。
詳しくは、【公認心理師試験】心理学の統計学は難しい?先に学んでおくべき理由にまとめています。
心理検査ごとに出題される問題は決まっている
元も子もないことを言うようですが、公認心理師試験の勉強として心理検査を学習したからといって、実務では使い物にならないのです。
心理検査を実際に現場で使うときは、何度も調べて、何度も練習し、何度もやって慣れていかないといけません。
逆に言うと、だからこそ、試験勉強の段階で、現場を目指して、その心理検査のスペシャリストになろうとする必要はないんです。
それよりも、「問題を解くために、各心理検査ごとにどこまで学習しなければならないか?」に着目して、効率的に学習していきましょう。
合格者が分類する心理検査の優先順位【★★★/★★☆/★☆☆】
私は、公認心理師試験学習書を中心に、以下のように心理検査を分類し、学習していきました。
私が使用した学習書に関しては、公認心理師試験おすすめ本5選【第2回に合格した私が実際開いた本】を見てください。
★が多ければ多いほど、出題頻度が高く、高い学習深度が求められるもの=学習の優先順位が高いものです。
【★★★】は、心理検査の実施方法、基本的な解釈方法までを学習すべきものです。
この分類に入る心理検査は、どのような分野で働いていたとしても、心理師が行うことの多い検査です。解釈の問題や、事例問題の一部として出題されることが多いです。
私は、持っている心理検査用紙に自分が解答して解釈し、学習しました。
何個くらいの項目で「はい」と回答すれば、どの因子が高くなるか。結果に反映されてくるのか。などの具体的なイメージを作り学習することで、忘れずらく、応用がききます。
【★★☆】は、分野特有であったり、広範囲の現場では使用しなかったりするものの、心理師の教養として知っておくべきものです。
実施方法は単純であり、解釈ではなく、特徴(何がわかるのか、下位尺度は何か)やカットオフポイント、対象年齢などを覚えておくものです。知識問題として出題されることが多いです。
私は、概要を繰り返しインプットし、
で肉付けしました。とはいえ、この本は高価なので、試験勉強のためだけに買う必要はありません。学生の頃に使った臨床心理学の本などで良いでしょう。
また、この分類の検査については、手元にない検査用紙もあるため、そこは、統計の知識でカバーします。
【★☆☆】は、勤務先によって差異が大きかったり、実際使用する時には学習から始めるようなものです。過去問題や模擬試験に1回だけ出題されたもの、私の臨床心理士仲間も現場で使っていない、知らないものを分類しました。
ここに分類される心理検査の、試験での出題目的としては、正確に理解していたり、知っていたりすることを求めるものではないということです。
つまり、他の選択肢を適切に消去して回答するべき問題として出題されることが多いです。
私がここに分類したものは、私の学習深度も低く、現場でも使用しないことが多いので、もちろん、何度解きなおしても忘れています。しかし、「試験で解答できればいいんだ」という様に視点を変更し、間違うことはほとんどありません。
心理検査【★★★】
・MMSE、HDS-R、国立精研式認知症スクリーニングテスト
・ロールシャッハ・テスト、P-Fstudy
・MMPI,YG
・クレペリン検査
・風景構成法
・WAIS、WISC、田中ビネー、コース立方体テスト、VinelandⅡ適応行動尺度
心理検査【★★☆】
・ベンダー・ゲシュタルト・テスト、ベントン視覚記名検査、三宅式記銘力検査、ウェクスラー記憶検査、レーヴン色彩マトリックス検査、リバーミード行動記憶検査、ハノイの塔、トレイル・メイキング・テスト、WAB失語症検査、ウィスコンシン・カード・ソーティング検査
・MPI、エゴグラム、EPPS
・MAS、STAI、CMI、SDS、BDI、POMS、AQ、ADHD-RS、ADOS-2、LSAS-J、Y-BOCS
・TAT、SCT
・描画法
・K-ABC、ITPA、子どもの行動チェックリスト
・新版K式発達検査2001、遠城寺式乳幼児分析的発達検査法、津守式乳幼児精神発達診断法、新版S-M社会生活能力検査
心理検査【★☆☆】
・DN-CAS認知評価システム
・BACS、IES-R、CAPS、GAD-7
・日本版デンバー式発達スクリーニング検査、日本版ミラー幼児発達スクリーニング検査、WPPSI-Ⅲ、 CAARS 日本語版、Conners、M-CHAT
・その他の検査(まだ足りないという人は、
医科診療報酬点数について | サクセス・ベル株式会社 -心理検査・学力検査・適性検査・箱庭療法・コミュニケーションツール等の販売-を参考にするとよいと思います。私はしませんが。)
私の試験時の学習度【全然!】
さあ、では、nachiが試験前までに【★★★】~【★☆☆】にまとめたものを、少なくとも【★★☆】くらいまでは完璧に暗記していたかというと・・・
全くそんなことはありません。ぶっちゃけ、ちゃんと覚えていて、知識で問題を解けたのは、【★★★】と【★★☆】の青ラインを引いたあたりまでです。
でも、それでもいいんです。
なぜなら、試験問題が解ければいいから。
心理検査の分野で大事なのは、得点の高い事例問題で出題される心理検査に対し、必要十分な知識をもち、かつ、得点の低い知識問題で出題される心理検査に対し、消去法で解答できるようにしておくことなんです。
みなさんも、効率的に学習を進めてくださいね。
今回はここまで。
おわり。
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